【ギャンブル依存症目線】国内初の減酒薬について思う事

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先日記事を書くためにアルコール依存症について調べていると、この様な記事が目に入りました↓

国内初のアルコール依存症における飲酒量低減薬「セリンクロ錠10mg」が製造販売承認を取得|ニュースリリース|大塚製薬

 

減酒薬・・・?

 

今回はこの減酒薬が出る事で懸念される点について、ギャンブル依存症の目線から真面目に書きたいと思います。

今までの治療

アルコール依存症の治療もギャンブル依存症と同じで、一生を酒を断つという「断酒」が治療の大原則になります。

 

今までも薬はありましたが、コンセプトが全く違い「抗酒薬」というものでした。これを飲んでからお酒を飲むと気持ち悪くなり、お酒を飲めなくなるというもので、いわば断酒のサポート薬です。

 

今回の日本での承認がおりた薬はこれと全くコンセプトが異なるものです。

減酒薬について

この様な薬が発売されれば、簡単にお酒を減らせる!と飛びつく人も多いかと思います。もしこれがギャンブル依存症の薬なら私も飛びついていたと思います。

 

気になったので、どれだけ効果があるか薬のデータを調べてみました。図とかは貼ったら駄目そうなので文章で失礼します。

 

まず効果を見る為にどんな試験をしたかというと

アルコール依存症666人に対して「偽薬」「10mg」「20mg」それぞれを飲む群(3グループ)に分けて、24週間の経過を見たようです。

 

で、気になる結果ですが、この試験では飲酒日数にフォーカスしているようで、

 

元々で平均「23日/月」飲んでいた人が「11日/月」になったようです。

(※12週時点、10mg,20mgほぼ変わらず)

 

これだけ見るとおお~と思いますが、ポイントはこの後です。

 

偽薬でも「23日/月」から「15日/月」まで減っています。

 

・・・ん?

 

と思いましたが、これはどうやら心理療法も受けているので、その効果みたいです。

 

つまり純粋な薬の効果は「月4日分」の減少です。

 

単純に差し引いて考えて良いのかはわかりませんが、

 

いる?!なんでこんなのが出るの?!と思いました。

 

ネットではここまでデータを見ずに、単純なパッケージで凄いと騒がれていますし、実際かなり売れると思いますが、個人的にはこの様な薬は出てきてほしくありませんでした。

今後の予想

何故この薬が嫌かというと、薬の注意点にこう書いてあります。

 

アルコール依存症の治療目標は、原則、断酒の達成とその継続である。アルコール依存症に伴う精神・身体症状及び患者の意思を総合的に勘案し、断酒ではなく飲酒量低減を治療目標とすることが適切と判断された患者に対して本剤を投与すること。

 

そうです。

 

この薬によって今後アルコール依存症の治療で設定される目標が大きく変わってくる可能性があるからです

 

今まで大原則であった断酒という治療目標が、この薬が欲しいというアルコール依存症の人には簡単に「減酒」という目標にせざるを得ない状況が増えてくると思います。

 

それにより治療ハードルが下がり、より多くの人が治療するようになる、という事はありますが、このような状況になれば今まで断酒でやってきている人、最近断酒を始めた人達はどうでしょうか。

 

「1回やってみようかな・・。」

 

と、私なら誘惑に負けてしまうと思います。

 

また自助グループでの目標も当然「断酒」です。減酒が治療目標の治療の人たちは恐らくこの自助グループは活用できないのではないでしょうか。本来繋がれるはずだった場所にも単にこの薬に逃げる事によって機会を失う可能性もあります。

 

今後後追いで別の似たような薬も出てくると思いますが、今後アルコール依存症の治療環境はかなり変わってくるのかと思います。

ギャンブル依存症への影響

ギャンブル依存症の減酒(コントロールギャンブル)については、以前下記の記事にも書きました。

www.issyouhimitu.com

 

海外ではまずアルコールは一生止めなくても良いという「減酒」に成功したという論文が出てから、これがギャンブル依存症にも波及しています。2008年頃ですかね。

 

今後この薬の影響で「減酒」という物がもっと騒がれるようになると、ギャンブル依存症にも「コントロールギャンブル」という概念が騒がれてくる事にもなりかねません。

 

どこかの偉い学者さんが「アルコールで成功できてるのでギャンブルでもいけますよ。実は海外にもそうゆう事例は沢山ありまして・・」とメディアに話し始める日が来るかもしれません。

 

日本にカジノが出来る前にそんな事にはならない事を願うばかりです。

最後に

久しぶりにかなり真面目に書きました。

 

それ位この薬が出てくるのは嫌です。

 

アルコールも制御できなくなるから依存症にまでなってしまったのに、この薬を飲んで「薬があるから大丈夫」と単なる問題の先延ばしになりかねません。

 

今、葛藤の中で断酒をされている人からしても嫌な誘惑材料に感じるかもしれません。

 

ギャンブル依存症へ波及の可能性も高まってきました。

 

良い面ばかり騒がれていたので、ギャンブル依存症目線でネガティブな一面について書かせて頂きました。

それでは。